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出版社/著者からの内容紹介
大川功(CSK元会長)、潮田健次郎(トステム社長)、高原慶一朗(ユニ・チャーム社長)、藤田田(日本マクドナルド社長)の各氏が、起業家や起業を目指すビジネスマンに向けて、起業家・経営者としての心構えを説く。
抄録(「電子書店パピレス」より)
企業にとって必要なのは、ハードウェア、ソフトウェア、ヒューマンウェアが三位一体となってうまく機能することですが、「モノ作り」においても、私はこの三つの要素が重要だと思うんです。
「モノ作り」でのハードというのはその商品の目に見える形であったり、ベーシックな機能、そして作る側の生産設備や技術、日本が世界に誇るエンジニアリングということ。二番目のソフトというのは、商品コンセプトやさまざまな機能の組み合わせであったり、デザインなどのことです。そしてヒューマンウェアというのは、モノ作りにおいては、商品への「思い入れ」といいますか、その商品にかかわる人の「心」と言えるのではないでしょうか。逆に言えば、商品には作った人の「思い入れ」が凝縮しているのです。
モノ作りにとっては、作り手側がいかに「思い入れ」を持つかというのがきわめて重要です。
「思い入れ」持ったプロデューサーになれ
たとえば、わが社の紙オムツの商品で、パンツ型のはかせるタイプのオムツ「ムーニーマン」があります。これなどは、私も孫がいますが、実際にはかせてみると便利なんです。この商品の場合、まさにその「便利さ」がセールスポイントになるわけです。そしてこの「便利さ」は、生活を改革していこうというプロデューサーとしての視点が作り手にあってこそはじめて実現できるんですね。このプロデューサーの視点こそが、まさに作り手としての「思い入れ」です。プロデューサーというのは、クリエイターでありマーケッターでありマネージャーです。つまり商品の作り手は常にスペシャリストであってゼネラリストであることが要求されるのです。
商品を売るということは、ただモノを売るということではないのです。漏れないとか、肌がかぶれないといった商品の持つベネフィットを売るわけです。それを提供することで、いかに顧客の期待にこたえ、市場に革新的に働きかけるか。表面に見える期待だけでなく、消費者のマインドに潜在している期待感を掘り起こしていく。「こんな商品があったのか、これなら使ってみたい」という期待を、「使ってよかった」という満足に変えていく力。私たちはこれを“商品力”と呼んで、重視しています。
そこで忘れてはいけないのが、ユーザーの実際の感触や使い心地といった“実感”です。いわゆる“よいモノ”を生み出すには、高い技術力の裏打ちがなくてはいけません。しかし、生活産業における技術は、たとえばコンピュータや半導体産業における技術のように、一般の実感から離れたところで専門化したり先鋭化しすぎたりしてはいけないのです。とくに、生理用ナプキンや紙オムツなどは消費者の肌に直接触れるもの。その商品価値の多くは使い心地という“実感”で測られます。実感を満たさない商品は消費者にとって不満ですし、実感をおろそかにして機能や付加価値がひとり歩きしてしまったような商品には消費者はついてきません。
商品を測るものさしが、消費者の実感でなく、作る側の自己満足でしかない、というのはなにをかいわんや、です。しかし、このケースに関しては、苦い経験があるのです。
それは化粧パフです。アメリカで発売されていたオールレーヨンの化粧パフに想を得て、さまざまな試行錯誤の末、高級化粧綿「カーナ」を発売しました。私としては品質が一流なだけに期待していたのですが、これが惨敗、生産中止となってしまったのです。原因は簡単でした。女性は化粧パフを折り曲げて使用することがあり、「カーナ」ではこの場合、使用感が落ちるということを事前に把握していなかったのです。消費者の実感値の測定がうまくできなかったのでした。私のこれまでの経験、“実感”からいえば、私たち生活密着産業=実感密着産業では、消費者の実感から、半歩以上離れないことが重要なようです。一歩では進みすぎなのです。
はじめに 大川功(社団法人ニュービジネス協議会会長)
I “モノ作り”のこころ 高原 慶一朗(ユニ・チャーム社長)
1 起業家よ非凡な努力家たれ
三つの「し」を大切 に/父の製紙業を超えよう
防火建材でヒット飛ばすが
アメリカで見つけた生理用品市場
先見力と三つの「カン」
製品開発と同時に自らドブ板営業
「災い転じて」で事業を伸ばす
高品質・高価格路線がヒット生む/参入八年で業界一位
上場で会社は「大人」になる
2 モノ作り=「商品力」の追求
「思い入れ」持ったプロデューサーになれ
消費者の「不」をなくせ/薄さの革新
モレの革新、素材の革新/改良志向が企業を育てる
変化こそが価値を生む
紙オムツ市場で学んだ改革の大切さ
発想の転換で生まれた「はかせる」オムツ
潜在需要を探せ/開発スピードがライバルに差をつける
プロジェクト制で社員を育てる
3 失敗に学ぶ経営
二敗目に多くを学んだ/原因も責任も自分にある
四つの心の病気に注意せよ
4 夢、ロマンの実現
豊かな高齢社会への貢献
グローバルスタンダードを目指す
人間集団の美学の追求
目標、期待、受容がリーダーの心得
第三のベンチャー時代を生き抜け
II ヒトの経営、起業家の時代 大川 功(CSK会長/セガ・エンタープライゼス会長)
1 起業の原点
商家生まれが決定づけた人生観
現場で学んだ「在庫ゼロ」思想/戦争で理系へ
大病が与えてくれた勉強の機会
一度はファッションの道、模索するが
兄の事務所で経営の知識積む
タクシー会社を経営/思想なき会社は滅びる
2 ベンチャー企業を育てる
コンピューターに感じた「予兆」
計算センターの経営に加わる
ソフトウエアの世界に活路を見いだす
万博の仕事はとったけど/ヒトが経営の財産だ
上場で社員に夢与えよう/常に「次の目標」をつくれ
3 「人がすべて」の経営
経営ビジョンを明確に示せ
サービス業は「知識」が資本/野茂に学ぶ起業家精神
カネと夢が集まる米国ベンチャー
日本に欲しいベンチャー育成環境
ディスクローズできる企業になれ
4 いまこそ起業家の時代
忘れるな日本人の美徳/土性骨座った起業家育てたい
デジタル化とスピード化を見逃すな
世界標準がキーとなる/富とは知恵のことだ
大変化は大チャンスと見なせ
III カネの管理術、マネジメント術 潮田 健次郎(トステム社長)
1 イノベーションがなければ成長もない
「苦闘期」は飛躍のための蓄積期間
お客様の利益がイノベーションの基本
安売りはお客様の利益にならない
会社の基本理念を明文化/経営戦略とは差別化すること
2 確固たる信念が成長を生む
自分の未来像を持つ/自分なりの考えを持つ
常に先を読んで手を打つ
3 経営管理技術が利益を左右する
月次決算を行う/損益計算書・貸借対照表の検討
総資本利益率を把握/経営をガラス張りに
利益の共有で心をひとつにプラン、実行、検証、アクション
4 銀行の持つ「能力」を利用する
銀行だけが解決策を教えてくれた
メーンバンクが作り上げてくれた会計制度
銀行からお金を貸してもらえる会社になれ
5 資金は本業に集中させる
子会社は安易に作るな/「本業主義三原則」
IV 情報活用術、マーケティング術 藤田 田(日本マクドナルド社長)
1 なぜマーケティングが必要か
不景気は「売れない」原因ではない
客層の変化を見抜け
2 「出店」の情報活用術
シナジー狙えるGSや映画館との共同出店
小型サテライト店で新規需要を開拓
3 「価格」の情報活用術
客数増で利益を出す「安売り」戦術
4 「時間」の情報活用術
時間節約が生んだドライブスルー
いち早く全社員パソコン所有を達成
5 マーケティングのための情報収集術
本を読め、人と会え、街を歩け
集めた情報は自分で整理
徳川時代と変わらぬサラリーマン意識
6 マーケティングの前に文化を知れ
宗教なき近代日本がキーワード
日本=漢字文化を留意せよ
日本の子供より劣るハーバードの漢字能力
藤田田=ユダヤ商法の由来
7 起業の心構え
商売の基本は時代を超える/金儲けは目的でなく手段だ
仕事で「困った」ことはない/満塁ホームランを狙うな
既成価値の崩れるいまが起業のチャンスだ
パネルディスカッション 「甘ったれるな、起業家」
司会 大川 功(CSK会長/セガ・エンタープライゼス会長)
パネリスト 高原 慶一朗(ユニ・チャーム社長)/藤田 田(日本マクドナルド社長)/潮田 健次郎(トステム社長)
1 私はどう会社を興したか
建具屋からアルミサッシへ(潮田)
米国で見つけた「生理用品」の時代(高原)
自分を励ますものを作れ(藤田)
銀行は頼りにならん(藤田)
セミナーで教わった標準化マニュアル(大川)
時間短縮と簡便化をめざせ(藤田)
2 事業の「壁」
真似をしない、コストを下げる(潮田)
足で稼いだ販売力(潮田)
「ヒト、モノ、カネ」が壁になる(高原)
おごりや甘えが壁になる(高原)
楽天家に壁はない(藤田)
社員の誕生日に一万円と休日を(藤田)
3 経営とは何か──後輩経営者へ
満塁ホームランを狙うな(藤田)
経営とは、科学、人材、発明(潮田)
四〇〇冊のノートが宝(高原)
日本一の給料を払う、が信念(藤田)
カネで苦労せよ(潮田)