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出版社/著者からの内容紹介
バブル崩壊、規制緩和など、激変する環境下で、優良企業が不振に陥る例は珍しくない。規模や一時の利益率だけで強さは語れない。『日経ビジネス』が着目したのは、新指標ROR(株式投資収益率)。株式市場の見えざる手が選び出した新エクセレントは、「時代を超えて、理念や原理原則を堅持する」一方で、「市場を知り、永久革命」に挑むビジョナリーカンパニーだ。ロームをはじめユニークな新進企業から、トヨタなど大企業まで、豊富なケーススタディを一挙掲載。
抄録(「電子書店パピレス」より)
「なぜ、やめないんだ」。ヒロセ電機の酒井秀樹社長は、営業幹部を呼んでこう質す。利益率が下がってきた商品の販売を続けていると、納得できる説明を求める。ヒロセ電機では、製品を止めるより、作り続ける方が難しい。
ヒロセ電機は、コネクター専業の電子部品メーカー。同社の製品は、パソコンとディスプレーをつないだり、プリント基板上で部品と部品を接続する際の結合部分に使われる。
一九九六年三月期は売上高六百六億円、経常利益百二十億円。産業用のコネクターから、パソコン、携帯電話にも対象を広げ、順調に業績を伸ばしている。
そして、この一見地味な部品が、経常利益率二〇%前後という高い利益率を生み出す。とはいっても、圧倒的なシェアを取って、利益を独占しているわけではない。国内シェアは一四%程度。他社が真似できない高度な独自技術があるわけでもない。「ほとんどの新製品が他社と競合する。当初ライバルがいない場合でも半年後には真似される」。営業本部長を兼ねる三浦良常務は明かす。
何が高い利益率をもたらすのか。その一端が、冒頭の酒井社長の姿勢だ。たとえ売れていても、利益率が一定の水準を下回れば勇気を持って、「捨てる」のである。
独自開発して投入したコネクターでも、市場が拡大して新規参入が相次いだら手を引く。自社製品が“標準品”化してしまうと、多くの場合、ヒロセ電機が追い求める利益率を下回るからだ。
現在、VTRにはヒロセ電機のコネクターは使われていない。だが、VTRが業務用中心だった頃、ヒロセはソニーや松下電器産業に相当数のコネクターを納めていた。家庭市場が広がり、参入が増えた時点で撤退した。
ディファクト取っても勝てるとは限らない
パソコン用に使われているあるコネクターの分野からも、九五年に手を引いた。もともとその部品は、ヒロセ電機の仕様が業界に広がり、ディファクトスタンダード(事実上の標準)になった。が、ディファクトを取っても、特許がなければ必ずしも利益は生まない。仮に特許が成立しても、「その技術を使わないで、同じ機能の製品を作ることはそう難しくない」(中村達朗常務・製作本部長)。結局、利益率を優先すれば、いつかは手を引くことになる。
「十分な利益を生まない製品を作り続けることは二倍の損」。酒井社長の口癖だ。利益を生まぬモノに固執すること自体が一つの損だが、それに加え、そこで費やす人的資源を他の事業に振り向ければ、より大きな利益を生み出すかもしれない──すなわち損は二倍になる、という理屈である。
そんな酒井社長が目標とする経常利益率は二〇%。単品ごとの利益率も当然、この数字が目安となる。すなわち、利益率二〇%以上の製品を開発すれば、会社に貢献していると評価されるわけだ。
では、一定の利益率を下回った製品は一律に生産ストップの憂き目にあうのか。そうではない。必ず敗者復活の策を講じる。利幅が低下すると、まず“要注意製品”としてリストアップされる。そして、製作本部を中心に何らかの利益率向上策がないかを再検討する。
方法は二つ。一つは製造工程を根本から見直し、同じ仕様でも一層のコスト削減が実現できないか。もう一つは、同じ用途に使える範囲内で、ちょっとした仕様変更をほどこして他社との違いを生み出せないか──。例えば、寸法はそのままで材質を変え、性能を向上させるなどの方法がある。
どちらかの方法に成功した製品、それはVA(バリュー・アナリシス)品と呼ばれる。営業担当者は既存製品のユーザーに出向き、VA品に切り替えてもらえないか、交渉することになる。
まえがき
序章 「強い会社」を超えて
1明日の「強い会社」を探す
2RORランキング
上位百社
ワースト五十社
3市場が選ぶ新エクセレント百社
条件1 市場を知り、「永久革命」に挑む
条件2 時代を超え「理念や原理原則」を頑なに守り抜く
4RORが読む時代の方向
薄井 彰 青山学院大学経営学部助教授
5RORの計算方法
第1章 こんな会社がなぜ強い
1ケーススタディ RORランキング上位企業の軌跡
新エクセレントへの道1 捨ててこそ儲かる〈ヒロセ電機〉〈ユニ・チャーム〉
新エクセレントへの道2 危機に勝る良薬なし〈KOA〉〈西松建設〉
新エクセレントへの道3 「ストック」からの決別〈ナショナル住宅産業〉
新エクセレントへの道4 人の行く裏に勝機あり〈トラスコ中山〉〈テンアライド〉
新エクセレントへの道5 独自技術こそ企業の命〈村田製作所〉
新エクセレントへの道6 ニーズは自ら掘り起こせ〈オートバックスセブン〉
新エクセレントへの道7 一人ひとりが経営者〈ショーボンド建設〉
新エクセレントへの道8 界一低いコストを求める〈ミツミ電機〉
新エクセレントへの道9 さらば日本的経営〈HOYA〉
2日米エクセレント・トップに聞く
花房 正義 日立クレジット社長
ルー・プラット ヒューレット・パッカード会長兼社長兼CEO
第2章 エクセレントからビジョナリーへ
1『エクセレント・カンパニー』両著者が語る二十一世紀の超優良企業の条件
ロバート・ウォーターマン
トム・ピーターズ
2百年続く「強い会社」ビジョナリーカンパニーへの道 ジェリー・ポラス
理念は組織を漂流から守る「星」
これがビジョナリーカンパニーの通信簿だ
3日経ビジネスが考える「新・エクセレントの条件」
見えざる手が選ぶ明日のエクセレント
変わらぬ理念を持てるだけのコアがあるか
第3章 ビジョナリー経営
1源は京都にあり
京都の強さ1 「社訓」にこだわる
京都の強さ2 独自技術を磨く「本業」至上主義
京都の強さ3 過激なまでの理念至上主義
京都の強さ4 理念を社員に浸透させる
2ロームの不思議な経営
「経営者は営業マンじゃない」──取引先に会わないトップ
「値下げするくらいなら売らない」──業界初の値上げ断行、五万品種の製造中止
「社長賞は現金一千万円」──六六年から年俸制の超・実力人事
原理原則に忠実な“素直経営”の秘密 佐藤 研一郎 ローム社長に聞く
3トップが語る理念の原点
拡大主義捨てたら会社が甦った 向山 孝一 KOA社長
トップの意志と人格が社員動かす 稲盛 和夫 京セラ会長兼DDI(第二電電)会長
第4章 ビッグカンパニーの挑戦
1トヨタ自動車 シェア四
〇%奪回へ総力戦
販売揺さぶる奥田体制
巨大販売網のジレンマ 効率化へ現場の抵抗強く
士気維持に四〇%シェア守る 奥田 碩 トヨタ自動車社長
2アサヒビール 一人勝ちの死角
能力人事が「スーパードライ」生んだ
ライバルが勝手に沈んでいく
ビールの成功が飲料市場で通用するか
3創業の理念に戻る 大企業の行方〈松下電器産業〉〈ソニー〉〈本田技研工業〉
「幸之助イズム」を伝道する──森下 洋一 松下電器産業社長
創立五十周年でリ・ジェネレーション──出井 伸之 ソニー社長
改めて「普通の企業」を目指す──川本 信彦 本田技研工業社長
4「第二の創業」で目指すビジョナリー経営の道 ソニー 出井 伸之 社長
「変化」こそがソニーの本質だ
DVDきっかけに「喧嘩」ばかりから「提携」も方向を間違えなければ、全速力経営の方がよい