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出版社/著者からの内容紹介
投資効果の点でマスメディア中心の販促戦略に疑問が持たれている中で、ワン・トゥ・ワン・コミュニケーションやインターネットなど新しいマーケティングの手法を使った顧客の囲い込みとリピーター化が注目されている。顧客に直接働き掛けるマーケティング法の総称である「ダイレクト・リレーションシップ・マーケティング;DRM」の基礎知識、導入手法から市場での生かし方、実例までを解説。マーケッティングにたずさわる人やビジネスマン、経営者に必読の書。
抄録(「電子書店パピレス」より)
「フルフィルメント(Fulfillment)」――一般のマーケターには耳馴れない言葉かもしれないが、通信販売に語源を持つ、DRMのキーワードの一つである。フルフィル(Fulfill)という本来の語義通り、DRMの目的を「完遂」させるのがフルフィルメントの役割で、地味ではあるが重要不可欠な業務分野である。この顧客満足重視のマーケティングの時代に、その重要性が再認識されている。
わかりやすくするために、ダイレクト・オーダー型の場合を例にとってフルフィルメントの業務内容を説明すると、次のようになる。
フルフィルメント業務は、まず、大きく六つに分けられる。(一)受注、(二)顧客データ処理・ファイル管理、(三)商品配送・在庫管理、(四)代金回収・入金処理、(五)顧客サービス、(六)業務報告――などである。通信販売会社の場合、このうち(三)、(四)および(五)の機能は、一般の間接流通のかたちをとる会社での場合と比較すると、名称は似ていても、顧客に対するポジショニングと業務内容がいささか異なっている。
すなわち、通信販売の場合の「商品配送」とは「直接宅配」を意味し、「在庫管理」の在庫とは「対最終顧客」在庫を意味する。また、「代金回収」は個別の最終顧客への「請求明細書発行」業務であり、「入金処理」は顧客からの代金払い込み情報(金融機関経由で通知)のデータベース上での「消し込み」作業になる。
中でも、最も位置付けの異なるのは「顧客サービス」かもしれない。一般の間接流通のかたちをとる企業の場合は、顧客サービスは営業とか製造など他の基幹部門の付属機能として設置され、単に苦情受付窓口的なポジションでしかないケースが多い。これに対し通信販売会社の場合は、この機能こそが、顧客の一人ひとりと直結した、いわば“最前線”なのである。
通信販売会社にとっては、販売キャンペーンが無事完了し、好調に受注が始まったからといって、マーケティングの目的があらかた達成されたとは言えない。そこまででは、マーケティングの前半分に過ぎず、後半分のフルフィルメントがそこから始まる。フルフィルメントがきちんとなされなければ、マーケティングは完成しない。
どんなに魅力的な条件で商品を提示し、欲求をそそる広告表現で消費者を刺激して、高率のレスポンスを獲得したとしても、それに対する商品の配送が遅延したり、支払い済みのはずの代金の請求があったり、ちょっとした問い合わせにも答えられず、たらい回しになったり――という、ずさんな対応や業務処理をしたら、そのキャンペーンはぶち壊しとなってしまう。
購入客は失望して、そのような会社の販売キャンペーンにはその後は二度と目を向けなくなり、次のキャンペーンには悪影響が生ずる。最悪の場合には、社会的なトラブルにまで発展し、企業の信用は著しく損なわれることになる。
その意味においてフルフィルメントという業務は、販売キャンペーンのように成果がはっきりと目に見えることはないものの、まことに重要な分野である。フルフィルメントを適正に行うことによってのみ、次のキャンペーンでの、また将来に向けての、成功が約束されると言っても過言ではない。
瑕疵のない商品、手間をとらせない受注、正確なデータ処理、迅速な配送、間違いのない代金決済、感じの良い電話対応、完全なアフターサービスなど、フルフィルメントとは、当然のことを当然のようになし遂げ、単に、顧客から発せられた商品の注文だけをフルフィルするのではなくて、顧客の求めている「満足」をフルフィルするものである。
著者について
中澤 功(なかざわ いさお)
1961年早稲田大学第一法学部卒業、日本リーダーズダイジェスト社入社、マーチャンダイジング、マーケッティング部門の部長を歴任、80年からは広告代理店に転じ、マッキャン・エリクソン博報堂でダイレクトマーケティング・ディレクター、第一企画ラップ・アンド・コリンズ副社長、サーチ・アンド・サーチ・アドバタイジング副社長などを経て、現在はベネッセ・グループのテレマーケティング・ジャパン内の国際ダイレクトマーケティング研究所所長。日本のダイレクトマーケティングの草創期から、一貫してその最先端を歩み続け、80年から91年までは(社)日本ダイレクトメール協会で教育・国際担当常務理事を務めるなど、業界の発展にも大きく貢献した。講演や執筆活動も数多く、既著に「ダイレクトマーケティング・ハンドブック」(共著、日本能率協会刊)、「エレクトロニック・ダイレクトマーケティング」〔訳著、日経マグロウヒル(現日経BP社)〕などがある。
はじめに
序章 いま、事業戦略の大転換期
1 企業目的の見直し
企業の目的とは何か
顧客こそ企業の財産
2 伝統的マーケティング常識への疑問
マス・マーケティングの限界
マーケティング戦略の見直し
第1章 新しいマーケティングの視点
1 アウェアネスだけでなく「レスポンス」を
2 プロモーションから「リレーション」へ
3 シェアよりも「ロイヤルティ」
4 何が重要か、何をなすべきか
第2章 DRMとは何か
1 伝統的マーケティングとDRM
2 リレーションシップ・マーケティングとDRM
顧客関係の重視
限りない顧客への接近
3 ダイレクトマーケティングとDRM
ダイレクトマーケティング概念の混乱
ダイレクトマーケティングの二つの側面
DRMとダイレクトマーケティングの違い
4 DRMの定義とポジショニング
DRMの概念
インディビジュアル・マーケティング
ワン・トゥ・ワン・マーケティング
インタラクティブ・マーケティング
第3章 DRMへの道
1 DRMのキーワード“3R”
レスポンス
リピート
リテンション
2 基本的な三つのステップ
ステップ(一)潜在関心客の見込客化
ステップ(二)見込客のユーザー化
ステップ(三)ユーザーの常顧客化
3 DRMの基軸“データベース”
データベースの構成エレメント
◆個人属性
◆購買履歴
◆管理情報
データベースの利用目的
◆優良見込客の識別
◆顧客プロファイルの把握
◆顧客との関係強化
◆顧客の欲しいものを読みとる
第4章 データベース・マネジメント
1 データベースの構築
サンプラー
シフター
コンティニュイティ・プログラム
セールスリード
キャンペーン、コンテスト
メンバー・ゲット・メンバー
その他
◆外部データベース
◆集客イベント
◆取材
2 データベースの管理
鮮度の維持
◆マッチング
◆ニクシー
◆住所変更
◆ブラック・リスト
◆MPS/TPS
◆インベントリー
データベースの保護
◆トランケーション
◆シーディング
3 データベースの運用
セグメント・セレクション
リグレッション・アナリシス
フォローアップ
ペーシング
第5章 DRMの基盤機能―フルフィルメント
1 フルフィルメントとは何か
なぜフルフィルメントが重要か
レスポンスをファイル化する
◆レスポンス受付
◆クレジット・チェック
◆顧客ファイル管理
2 顧客管理から顧客満足へ
顧客サービスとは何か
◆能率的な処理
◆電話応対の重要性
◆受動から能動のフルフィルメントへ
フルフィルメントの理念
◆顧客本位
◆用意周到
◆迅速第一
◆問題改善
第6章 DRMの基本発想
1 二段階思考
フロントエンドとバックエンド
◆役割の分担
◆機会最大化のためのリンク
リードとコンバージョン
テストとロールアウト
◆テストの意義
◆テスト結果の判定
2 効果測定
DRMにおける効果測定とは
DRMのレスポンス・メカニズム
◆電話
◆クーポン
◆BRC
◆BRE
◆ファクス
キー・コード
何を、どう、集計・記録するか
◆オーダー
◆セールスリード
◆コンバージョン
◆リニューアル
◆アトリション
◆アベレージ・テーク
レスポンスの分析
◆メディア要因分析
◆クリエーティブ要因分析
3 テスト
「テスト」とは何か
何をテストするか
◆商品テスト
◆クリエーティブ・テスト
◆メディア・テスト
テストの企画手順
◆メディアの選定
◆サンプルサイズの設定
◆コントロールの設定
◆その他のチェックポイント
テストの方法論
◆A/Bスプリット・テスト
◆マルチ・スプリット・テスト
◆フリップ・フロップ・テスト
テストの結果をどう読むか
◆効果の評価・判別のポイント
◆ポスト・テスト・リサーチ
◆テスト結果のフィードバック
◆ロールアウトの効果測定
第7章 DRMのキー・ファクター
1 メディア
二系統のDRMメディア
フロントエンド・メディア
◆テレビ
◆ラジオ
◆新聞
◆雑誌
◆新聞折り込み
◆テイクワン
バックエンド・メディア
◆ダイレクトメール
◆テレマーケティング
2 クリエーティブ
クリエーティブの目的
クリエーティブは顧客関係のはじまり
DRMクリエーティブのポイント
◆訴求の対象を明確にする
◆個人化する
◆ニーズに訴える
◆レスポンスしやすくする
3 オファー
保証
試用
優待
見本
第8章 DRMの戦略ポイント
1 インボルブメント
スウィープステイクス
クイズ
クーポン
ラブオフ
チョイス
2 パーソナル・コミュニケーション
テレコンファメーション
ニューズレター
パーソナライゼーション
◆本質的パーソナライゼーション
◆技巧的パーソナライゼーション
◆パーソナライゼーションの意義
3 ロイヤルティ・プログラム
ロイヤルティ・プログラムとは何か
ロイヤルティ・プログラムの適用分野
◆エアライン
◆クレジットカード
◆ホテル
◆レンタカー
◆通信
◆小売
顧客ロイヤルティへの報償システム
◆顧客の望むものを提供する
◆視野を広げて考える
◆手の届くレベルの報償を
◆単純明快にする
◆業種に合った得点・報償方式
◆報償の有効期間を定める
◆達成目標を明確にする
第9章 DRMをどう生かすか
1 販売システムとしてのDRM
新事業の立ち上げ
新市場の開拓
2 サポート・システムとしてのDRM
ディーラー支援
販売チャネルの活性化
3 成果最大化のシステムとしてのDRM
市場ポテンシャルの最大化
顧客ポテンシャルの最大化
第10章 日本のDRMプレイヤーたち
1 顧客を逃がすな!――トヨタ自動車
失わないことの重要さ
カードの新しい位置付け
2 まずリレーションシップをつくる――NTT
テレマーケティングを生かすには?
ダイレクトメールの併用
3 リピーター育成大作戦――日本石油
元売り主導型現金会員カード誕生
きめ細かい来店促進戦略
4 “顔が見える”“ニーズが読める”――カネボウ化粧品本部
各店舗が顧客管理の拠点
対象選別とパーソナライゼーション
5 DRMの優等生――ベネッセコーポレーション
ワン・トゥ・ワン・コミュニケーションの重視
テレマーケティングを最大限に活用
基本と革新
終章 DRMの未来
1 インフォマーシャル――究極のDRMフロントエンド
商品情報へのニーズを満たすもの
インフォマーシャルの原型
今日のインフォマーシャル
日本のインフォマーシャル
インフォマーシャルの今後
2 IVR――DRM顧客コミュニケーション合理化の新兵器
テレマーケティングの先端技術化
IVRで何ができるか
DRMにとってのIVRの意味
3 インターネット――DRM完成のための強力サポーター
マーケティング・チャネルとしての限界
情報チャネルとしての可能性