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出版社/著者からの内容紹介
通訳として活躍した著者の来日ミュージシャンとのメモランダム、秘書・DJなどの豊富な職歴からアドバイスする職業の話など、英語に興味があり、英語が関係する仕事につきたい人必見の一冊!
抄録(「電子書店パピレス」より)
広告コピーの仕事
日本ではどういう訳か、ありとあらゆるものに英語が使われています。Tシャツやトレーナー(sweat shirt)をはじめ、お菓子のパッケージから文房具まで、必ずと言っていいほど英語のコピーがついていますよね。しかも、その英語が間違いだらけで、昔はよく「間違った英語を使うくらいなら日本語で書けばいいのに。スペリングなんて辞書に出ているじゃない」と腹が立ったり、「native speakerが見たら笑うだろうな」と恥ずかしくなったものです。でも、そんな間違いも最近ではだいぶ減ってきました。中には「うまい!」と感心させられるものもあるほどです。それだけちゃんとnative speakerにネーミングやコピーを依頼するようになったのですね。
私の場合はお菓子のパッケージや生活雑貨といったものや、キャンペーンのコピーを扱うことが多いのですが、最も苦労するのは、たとえコピーが英語であろうと、対象はあくまでも日本人であるということです。つまり、一般的な日本人が読んでも分かる英語でなくてはならないのですね。それでいてnative speakerが読んでも納得できるもの、となるとなかなか難しい仕事です。
まずはvocabularyの問題。当り前のことですが、日本人がよく知っている英語というのは限られています。その中からもっとも適切なものを選ぶ作業は、まるでジグソー・パズルを組み立てるのと同じ。しかも、もともと使える言葉が決まっているので、どんなものを作っても、できあがったコピーがみんな、どこかで読んだことがあるようなものになってしまうのです。正直言って、‘Let's enjoy'‘fresh'‘human'‘feeling'‘amenity'‘natural'といった表現を使うのはうんざりです。でも、外来語として定着している言葉なら、確かに誰にでも意味が通じるのですよね。
次に、単語vs.熟語の問題。日本人は単語を好みます。英語では熟語の方がコピーっぽいし、ずっと自然なのですが、日本人は熟語が大の苦手。たとえ知っている言葉しか含まれていなくても、熟語は避けたがるのです。でも、たとえば「楽しむ」を‘enjoy'とするのと‘have fun'とするのでは全然ニュアンスが違うんですよね。‘wear'と‘put on'、‘travel'と‘go on a trip'、‘search'と‘look for'、‘return'と‘come back'、どれを取っても単語の方は固くて文語的な表現になってしまい、「生きている」「動いている」といった雰囲気がなくなってしまうのです。
他にも問題はあります。例えば、外来語が障害になる場合。本来の英語の意味や使われ方とは違うのに、たまたまある意味が日本語として定着してしまったために、正しく使おうとすると誤解されるというケースです。 ‘diet’などはその典型で、本来は食事そのものや食物の採り方を意味するのですが、日本ではすっかり「やせる努力をする」という意味になってしまっています。ですから、食事療法をしていなくても「ダイエットしている」と言ったりするんですね。日本人が勝手に作ってしまった、一見英語風の造語も障害になります。たとえば、シャープ・ペンシル。英語では‘mechanical pencil’と言います。ナイター、ガソリン・スタンド、オープン・カー、車のハンドル、バック・ミラー、ホテルのフロント、パソコン、ワープロ、テレビ、 CM 、セロテープ...どれも勝手に作ったり省略してしまった言葉で、英語としては通じないものばかりです。
そして何よりも辛いのは、今のところ、コピーは日本人が考えたものを英語に訳しているケースが多いことです。英語でコピーを作るなら、その人が自分自身でその商品を手にして、英語で考えて作らなければ、自然な英語のコピーは生まれませんよね。アルファベットが並んでさえいればいいというなら、日本文を全部ローマ字で書けばよいのですから。日本語を訳して英文コピーを作っていては、いつまでたっても、アメリカで使われているケンタッキー・フライド・チキンの‘finger lickin’ good’やコカ コーラの‘Coke is it!’といった優れた作品は出てきません。
著者について
田中まこ(たなか まこ)
1955年5月27日、大阪生まれ。父親の仕事の関係で10歳から15歳、17歳から20歳までをアメリカ・ロサンゼルスで過ごす。大学はUCLAで2年間学んだ後、ICL(国際基督教大学)に編入して、卒業。卒業後は英語講師、秘書として勤めるかたわら、ラジオ番組の制作、通訳の仕事を手がけるようになる。その後、フジテレビの「夜のヒットスタジオ」をはじめ、数々の来日アーティストの通訳として活躍。海外渉外、番組製作、MC、コーディネイトも手がける。FM横浜「A&Mスペシャル」、FMジャパン「J−WAVEキャットフィッシュ」等、DJを務めた番組も多い。最近は子供の英語教育、環境問題に積極的に取り組んでいることでも知られる。