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出版社/著者からの内容紹介
目覚しい発展を遂げ経済に活性を与える可能性のある新企業に対し、企業立ち上げのリスクを背負って投資育成をするベンチャーキャピタル(VC)。そのVCビジネスについて学問的・実務的両視点から解説する。
抄録(「電子書店パピレス」より)
(一)法的ルールの変化
一九九四年、細川内閣の政府政策大綱に「VCの支援によるVBの振興」という明治政府はじまって以来とも言える直接金融方式による経済振興政策が採用され、規制緩和と振興策が進められることになった。
さらに一九九六年、橋本内閣により「フリー、フェア、グローバル」の三原則による金融ビッグバン宣言が行なわれ、一九九七年、山一證券の自主廃業、北海道拓殖銀行の経営破綻によるバブル経済の崩壊が進行した。
これを機に、日本経済を支えていた間接金融システムにヒビが入り、結果的に金融ビッグバンによる直接金融システムの法的整備が進行した。具体的には、外為法の改正にはじまり、直接金融の根幹である証券市場のルールを定める証券取引法の大改正が行なわれた。
証券会社の免許制から登録制への移行、業態間の垣根の撤廃、投信制度の改革、株式売買手数料の自由化。証券取引所の開設も登録制になり、結果的に三つの新興市場が共存するような改革が行なわれた。並行して投資家保護の重要なインフラであるディスクロージャーのための会計制度も米国を範として国際化への改正が進行した。
資産の時価主義原則、連結決算、P/L(損益計算書)、B/S(貸借対照表)だけでなくキャッシュフローステートメント(CF/S)をセットにした財務諸表、退職金、年金等の引当てルールなど、日本的経営を支えていたディスクロージャーのルールについても大改革が進行した。
この間、ペイオフと本格的な証券税制の改正が先送りされたが、それも二〇〇二年四月に行なわれることになった。既存金融機関もこれに対応するための経営改革により、明治以来の間接金融システムも国際スタンダード化されてきた。
未登録企業にとってはほとんど市場がなかったといっても過言ではない資本市場が、いよいよ開放される道筋を歩みはじめた。これはプライベートエクイティマーケットの各種の取引の進展であり、その一端を担うVCの活動も大きな変貌を遂げることになる。
米国の九〇年代初期のナスダック(NASDAQ)の電子取引、および英国のビッグバンの中核であった証券取引の手数料自由化を思うと、日本の今後の展開は様変わりすることは確実である。参考に一九九四年以来のベンチャーキャピタル、ベンチャービジネスの経営にかかわると思われる改革と促進策を年表にしてみた。
一つ一つ、それぞれビジネス環境の変化として重要なことは当然としても、わずか四〜五年の間に集中的に変化したこと、その変化した一つ一つのことが相互に関連し合いインテグレートする段階になったことを認識することが重要である。
日本のVCの三〜四年前までのビジネスとこれからのビジネスは、ほとんど異なった別のものという認識に立たなければならなくなってきていると考える。
この認識に立つか立たないかはベンチャーキャピタリストとして、または急成長を展開しようという企業家にとっても、運命を変えるといってもよい大きな問題になるであろう。
著者について
齋藤 篤(さいとう あつし)
1954年北海道大学法学部卒業
同年野村證券株式会社入社、投資信託部長、営業推進部長を経て、
1979年日本合同ファイナンス株式会社(現 株式会社ジャフコ)常任取締役
1987年日本アセアン投資株式会社(現 JAIC)専務取締役
1991年CSKベンチャーキャピタル副社長
1996年エス・アイ・ピー株式会社設立・代表取締役会長
1998年法政大学大学院社会科学研究科客員教授
1999年日本ベンチャーキャピタリストクラブ会長、現在に至る
2000年エス・アイ・ピー株式会社改組に伴い代表取締役社長、現在に至る
日本ベンチャーキャピタリストクラブを創設し、若手ベンチャーキャピタリストの育成と自立を支援するオピニオンリーダー的存在である。
藤原 和隆(ふじわら かずたか)
1966年大阪生まれ
1989年上智大学法学部国際関係法学科卒業
同年日本アセアン投資株式会社(現 日本アジア投資株式会社)入社
資本政策課長、福岡支店長、審査室長等を経て
2001年エス・アイ・ピー株式会社 取締役インベストメント事業部長、現在に到る
創業期の日本アセアン投資に入社後、投資・審査・企画・公開コンサルティング等の業務に従事し、IPO案件のほかM&Aや企業再生等、プライベートエクイティ関連業務を幅広く手がける。
日本ベンチャーキャピタリストクラブ創立メンバーの一員でもある。
11 敬語を正しく使う
はじめに
[第一部]
産業としてのベンチャーキャピタル
──入門者のための基本説明──
序章 ベンチャーキャピタル(VC)の経営環境変化の認識
──一九九四年からの法改正──
(一)法的ルールの変化
(二)【付表1】主要事項の年表
第一章 VCのビジネスモデル
(一)VCの投資資金はどのようなお金を、どのようにオルガナイズするのか
(二)投資対象(VB)はどのような会社か
(三)VCとVBをつなぐベンチャーキャピタリストの役割
第二章 VCが発展するためのビジネス環境
(一)VC先進国の米・英の歴史が示すものは
(二)VCに資金が流れていく金融システム
(三)VBが群生するためのビジネス環境
(四)【付表2】米国ベンチャーキャピタルの年表
第三章 New Ventures とは
(一)新しい呼び名の提案
(二)New Ventures のVCの必要性
(三)VCが求めるNew Ventures の条件
(四)【付表3】VCに提出しなければならない資料
第四章 ベンチャーキャピタリストとは
(一)VCと NewVentures を結合させる仲介人がベンチャーキャピタリストである
(二)ベンチャーキャピタリストとは
(三)期待されるパフォーマンス
(四)米国のベンチャーキャピタリストとはどんな人
第五章 ベンチャーキャピタルの資金は投資事業組合で
(一)なぜ、投資事業組合なのか
(二)投資事業組合の設立の要点
第六章 New Ventures の経営
(一)三年で株式公開
(二)ビジネスモデルの最も重要な要素は
(三)ビジネスシステムはこれでよいかの確認
(四)エマージング・グロースをおこす準備
(五)経営管理体制作り
(六)引受証券会社の決定
(七)私のハンズオンによる成長支援
第七章 New Ventures 成功のために
(一)New Ventures 成功の可能性
(二)利潤はどのようにして作られるのか
(三)イノベーションのチャンスはどこにある
(四)[参考1]イノベーションの七つの機会
第八章 リードインベスターと資本政策
(一)リードインベスターの必要性
(二)リードインベスターなしではできないこと
(三)リードインベスターが資本政策を作る場合のポイント
(四)商法改正による New Ventures の資本政策
(五)【付表4】New Ventures の提出する詳細資料
第九章 投資資金の回収
(一)投資資金回収の基本はIPO
(二)IPO以外のもう一つの資金回収の道
(三)【付表5】新興市場の公開条件
第十章 ベンチャーキャピタリストの心得
(一)未来は不透明
(二)論理的に完璧と思われる事業計画は失敗する
(三)投資する資金は出資者のもの
(四)New Ventures はないないづくし
(五)会社の経営状況は財務諸表にすべて現われる
第十一章 産業としてのVCへの挑戦
(一)米国LPSモデルにもどって
(二)【付表6】ビジネスモデル対比表
[第二部]
現代ベンチャーキャピタル考
──新たな経営環境に適応するために──
第一章 変化に対応するビジネスの変化
──新しいVCビジネスは何がどう変わる──
(一)投資対象が変わる。したがって、VCの役割が変わる
(二)ベンチャーキャピタリストの業務の変化
第二章 ベンチャーキャピタルの経営形態はどう変わる
(一)ビジネスモデルの点検
(二)LPSモデルを軸にした経営形態の導入について
(三)[参考2]SIP Capital のビジネスモデル
第三章 ベンチャーキャピタリストが企業家に求めること
(一)スタート・アップ、アーリーステージで求めること
(二)エマージング・グロースを成功させるために求めること
(三)投資契約書による約束の強制
第四章 ビッグサクセスを生み出す出会い
(一)武井保雄と今原禎治
(二)永守重信と今原禎治
第五章 二〇一〇年の業界展望
[第三部]
現代ベンチャーキャピタル考(その2)
――ニューベンチャー証券投資法人――
第一章 産業としてのベンチャーキャピタルが生成し発展する基礎的条件
(一)長期不急資金が大量に発生しベンチャーキャピタルに資金が流入する条件
(二)長期投資対象としてベンチャーキャピタルが選ばれるための条件
(三)フィナンシャルインベストメントを運用方針とする独立系・中立系ベンチャーキャピタリストの群生と選別
第二章 ニューベンチャー証券投資法人の意義
(一)意義
(二)研究会の三つのテーマ
第三章 「オータナティブ」商品としての立証テスト
(一)意義とスタンス
(二)テストファンドが成功するであろう環境の変化
第四章 ゲート・キーパー機能設立について
第五章 「ニューベンチャー証券投資法人」設立研究会資料
――産業としてのベンチャーキャピタル確立のために――
提言者:日本ベンチャーキャピタリストクラブ
(一)研究会設立の背景
(二)構想の内容と課題
(三)研究会の目的と目標
(四)「ニューベンチャー証券投資法人」設立研究会
(五)日本のベンチャーキャピタル分類
[第四部]
私のベンチャーキャピタリスト論
──先駆者から学んだこと──
第一章 社会が必要とする道は拓かれる
──北裏喜一郎と今原禎治──
第二章 ベンチャーは虚業か実業か
──清成忠男──
第三章 ベンチャーキャピタリストの役割分担
──S. E. Pratt──
第四章 財務諸表の変化が経営を語る
──西谷誠一と門下生──
第五章 未知なる世界に挑戦する勇気
──Patricia M. Cloherty──
あとがき