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出版社/著者からの内容紹介
民法の話というと、とっつきにくいイメージをもたれる人もいるかもしれません。でも意外や意外、これが存外、楽しめてしまうのです。
たとえば、あなたが大事にしていたジッポのライターが盗まれたとします。ある日、ふだんから何かと風評の悪いAがそれを使っているのを見かけました。「おい、それは僕のだ。返せよ」「いや、これは俺が使っているから俺のさ」
まさかと思われるでしょうが、Aの言い分はこの限りでは通用するのです。詳しくは本文をお読みいただくとして、本書はこのような、ちょっと理解に苦しむような法律や、奇妙キテレツに思える判決、知らなかった裁判の仕組みなどを、興味深く楽しく知ることのできる一冊。日々の身近な出来事を“民法感覚”で見見直してみてはいかがでしょう。
抄録(「電子書店パピレス」より)
財産も借金も残された場合相続はどうすればいい?
遺産というと「もらえるものなら何でも欲しい」と思う人も多いだろうが、じつは遺されてうれしくないものだってある。
お金や不動産などの財産ばかりが遺産ではない。借金もまた、相続される遺産にあたるのだ。
だから、予想外のところから遺産がころがりこんだとしても、中身を確認するまでは喜ぶのは早い。人の懐(ふところ)具合はわからないものだから、生前に羽振りがよくても、あけてびっくり、じつは借金まみれだったということは十分ありうるのだ。
借金を相続するなんて、だれだっていやだ。こんな場合には、三つの選択肢があることを覚えておきたい。遺産を遺してくれた人物が亡くなったことを知ったときから三か月以内に、心を決めて、行動を起こす必要がある。
まず第一が単純承認。財産も借金も遺されたものはすべて相続するということだ。三か月以内にほかの方法をとらないと、この単純承認をしたことになるので、注意しよう。
第二が民法第九三八条で認められている相続の放棄。第九三九条では、相続を放棄すれば相続人とならなかったとみなしているから、遺産に関する権利がなくなるかわりに、義務も負担しないことになる。つまり、故人の借金を払わなくてもすむ。
この場合、関係者に「遺産なんていらないよ」というだけではダメ。三か月以内に家庭裁判所に相続の放棄を申し立てなければならない。
そして、第三が限定承認。親戚筋や恩義のある人々に借金がある場合など、知らん顔をして相続の放棄をするわけにはいかないこともある。
そういうときには、民法第九二二条以下で定められている限定承認が、ベストの解決策となるかもしれない。これも三か月以内に家庭裁判所に申し立てをする。
たとえば、遺産の内容が二〇〇〇万円の借金と一五〇〇万円の財産だったとする。この場合、限定承認をすると、財産の一五〇〇万円の範囲でだけ借金を返済すればよいことになる。
もらった財産の限度で返済にあてるだけなので、右の設例では何も手元には残らないが、自分のものでもない借金を背負いこむことは避けられるわけだ。また、清算してみなければプラスになるかマイナスになるか不明の場合には、この方法をとるのが得策だ。
ただし、相続人のなかでだれかひとりでも反対する人が出てきたら、限定承認はできなくなる。全員一致で決定しなければならない。
ちなみに、誤解されやすいが、生命保険の保険金は遺産とは異なる。相続の放棄や限定承認をしても、保険金はまったく関係なく受け取ることができる。
著者について
近藤 彰子(こんどう あきこ)
1949年、東京生まれ。
中央大学法学部法律学科卒業後、76年、東京で弁護士開業。
現在、近藤彰子法律事務所弁護士、第二東京弁護士会に所属。